私の名前はジロギン。

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【夢物語】『ネッシーサークル』にご注意を。

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仕事が終わり、家の最寄駅に着いた時刻は既に22時近かった。
まだ明日も仕事があるため、寄り道しないで真っ直ぐ帰ってすぐに寝ようと思っていた。


夜道を家まで歩いていく。
駅から家に近づくほど閑散としていき、さすがに夜の不気味さを感じる。
特段誰かに襲われるような理由はないけれど、身構えてしまう。

 

 

 

私の10mほど前を紺色のジャージを着た女性が歩いていた。髪はツインテールというのだろうか、2つに縛っていた。
ジャージは私の中学校指定のものに似ていたが、後ろ姿からしてもこの女性は中学生ではなさそう。おそらく20代で私と同年代だと思われる。


私の住むマンション付近まで女性とは帰り道が一緒だった。
私は女性を追い越し、マンションの階段を昇った。追い越す際にちらりと女性の顔が見えたが、やはり20代といった感じで、少し色白の女性だった。
階段を昇っていく。ふと振り向くと女性も私の後ろから階段を昇ってきていた。

 


「あぁ、同じマンションの住人だったのか。知らなかった。挨拶とかしとくべきだろうけど、ほとんど顔も合わせたことないし、まぁスルーしていいか。」
そう思い、私は自分の住む階の扉を開けて、廊下に入っていった。


すると、女性も私と同じ階に住んでいるのか、まだ私の後ろを歩いてくる。
偶然かもしれないが、ちょっと怖くなり私は家の扉の前に着くとずくに玄関にはいり鍵をガチャリの締めた。

 

 


ストーカーにしては堂々と着いて来すぎだろうと思っていたが、別に何をされたわけでもないですし、忘れようと思って玄関を離れようとした際に、


「すみませ〜ん」


玄関のドア越しに声が聞こえた。
間違いなく私に話しかけている。
インターホン押さないのは、声の主には私が玄関にいるとわかっているからだ。
ということはこの声の主は…
私は恐る恐る覗き穴を覗いた。玄関の前には先ほどの女性が立っていた。


「すみませ〜ん」


また女性がこちらに声をかけてくる。
危ないだろうなと思いながらも、まぁ襲われても私は男性だし、スポーツもやってきたし、多少は抵抗できるから大丈夫だと考えて、玄関のドアを開けた。


「何でしょうか?」


私が女性に尋ねる。女性は表情を変えない。まるで人形のように。そして女性は答えた。


「あの…ブログお書きになってますよね?」


質問を質問で返された。まぁそれはいいとして、確かに私はブログを書いているが、そんなに有名なブログというわけでもない。
この女性は何らかの方法で私の住む家を突き止めてやってきたブログ読者の方なのだろうか?
嬉しいといえば嬉しいことだが、時間とか接触方法とか、そういうTPOをわきまえて欲しい。ちょっと不気味すぎる。


「ええ…一応書いてますけど…」


私は答えた。女性は続ける。


「その中で、『ネッシー』に関する記事を書かれてましたよね?」


ネッシーといえば、有名な未確認生物のことだ。ネス湖に住む怪物で、首長竜の生き残りではないかとされていたりいなかったりする。
確かに私は未確認生物のことが好きで、ブログでも取り上げたことはある。
すべての記事を把握しているわけではないので定かではないが、ネッシーについても記事を書いた…かもしれない。


「それが…どうされました?」


再度私が答えると女性は突如早口になり、こう切り出してきた。


「実は私たち『ネッシーサークル』というサークルを作っているんです!今メンバー募集中です!サークルのみんなでお金を出し合って、イギリスにあるネス湖に行くんです!ネッシーのことを知りたくありませんか?是非私たちのサークルに参加してもらいたくて、今回お話に来たんです!」


あぁ…そういうこと。つまり詐欺ね。
投資詐欺みたいなものか。多分何十万ってお金を払わせて、このサークルを知り合いとかにも広めさせて、結局ネス湖には行かず、サークルの発起人たちとは連絡が取れなくなるみたいな、そういうやつだろう。
ネッシーが詐欺にまで使われるようになったとは。本当にものは使いようだなと思った。


「すみません。確かにネッシーについて記事は書いたかもしれませんが、特にネッシーの存在を研究してるとか、突き止めてやろうとかそういう気は無いんですよ。しかもネッシーは既に架空の存在だとされていて、多分無駄足になりますよ、あなたのサークル。」


こういうのは冷たく突き放さないとしつこく勧誘されてしまう。私はネッシーの存在すらも否定した。正直ネッシー的な生き物にはいて欲しいが、この場を切り抜けるためには仕方が無い。
私がドアを閉めようとした時、女性はドアを両手で掴み、閉まらないように引っ張りながらこう言い放ちました!


ネッシーはいます!その証拠に、あなたがネッシーサークルに入らなければ、ネッシーの呪いによって殺されることになりますよ!」


ネッシーは呪術もできるのか。そんな機能がネッシーに備わっているわけが無い。もはや何でもありになってきて、私は少し笑いそうになったが、力を入れてドアを閉め、鍵もかけた。


ドンドンドン!!


とドアの激しく叩く音が聞こえ、ガチャガチャとドアノブが動いた。
この女性の執念に驚いたが、一番驚いたのはこの後のこと。
ドアの上の方の隙間から何かが入ってきた。


包丁だ。


ドアの隙間を上から下へシャーっと包丁は素早く降りて、鍵のところで止まり、スッとドアの外に消えていった。


女性は諦めたようで、それ以上何かしてくることはなかった。ネッシーの呪いと言いながら、お前が殺しそうとしちゃうのかよ!と思ったが、これで一安心だ。一応警察にも連絡はしておこう。もしかしたら私以外にもこのマンション内に被害者がいるかもしれないし、さっきの女性には私の住まいがバレているわけだし。

 

 

 

 

こういう宗教というか、霊感商法の類のものには気をつけなければならない。一度浸かるとなかなか抜け出せないと聞くから、怪しいものはブロックしなければ。


それにしてもネッシーサークルと聞いてお金を払う人なんているのだろうか?
もっと上手いやり方なんていくらでもあるだろうに、バカバカしい。
ネッシーネス湖にいるわけがないじゃないか。
そう、「ネス湖には」いるわけがない。

 

 


私は部屋の電気をつけた。
最近飼い始めたペットの世話が日課になっていた。餌の量が多いので大変だ。

 

最近私は部屋にある100m四方の水槽でネス湖で捕まえた首長竜を1匹飼っている。

 

 

 

 

この物語は私が見た夢を元に考えた妄想ストーリーです。

 

 

 

 

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